桜の木の下で…―運命に導かれて―




和室には一海さんのお父さん、一海さん、美乃さん、一里さんがいた。


今までお通夜のようだった食卓が、美乃さんと一里さんがいるだけで賑やかに感じる。


私は一海さんの近くに正座していた。


眠い……。


凄く眠い……。


私は自分の太股をつねったりして耐えていた。


気を緩めたら寝てしまいそう。



「…………さん!桜子さん!」



…………はっ!


記憶が飛んでた。


美乃さんの声で目が覚めて、遠くにあった記憶が蘇った。



「あ、はい!」


「一海さん、おかわりよ」


「はい」



私は一海さんからお茶碗を受け取り、ご飯をよそう。



「仕事中に居眠りなんて、いいご身分ね」



美乃さんがそう嫌味を言ってクスリと笑った。


あなたのせいです。


朝食も終わり、立ち上がろうとした時……。


足元がフラついて倒れそうになった。


…………そこまでは覚えてるんだけど、そこから私の記憶はなくなってしまった。