“ガラガラ” 離れの引戸の玄関。 それが開けられた音がした。 私は反射的に離れの裏に回った。 そこから玄関を見た。 あっ……。 一海さんだ……。 玄関から出て来たのは一海さんだった。 今すぐ一海さんのとこに行きたい。 でも行けない……。 一歩が踏み出せない。 一海さんの姿を見てるだけで胸が痛む。 一海さんは庭の方に歩いて行き、庭に置いてある椅子に座った。