「一海さん、やだぁ!」



隣の部屋から美乃さんの甘える声が聞こえる。


あの清楚で上品で生粋のお嬢様の口から出た言葉とは思えないくらい甘えた声。


寝れない……。


こっちは明日、朝が早いんだっつーの!


一海さんと美乃さんが何をしてるのか、16歳の私でもわかる。


そのうち美乃さんの喘ぎ声が聞こえてきた。



「美乃、声出すな。隣に聞こえるだろ?」



もう聞こえてるし。



「だって~。一海さん、が……いや……んんっ……」



もぉ!


私は壁に背を向けて布団をかぶり耳を塞いだ。


それでも微かに聞こえる声。


嫌だ……。


胸が押し潰されそうになる。


胸が“チクチク”痛む。


耳を塞いでいた手に力を入れた。