「あの、これ……。ありがとうございました」



私は白いカーディガンを美乃さんに差し出した。



「あらいいのよ。これ桜子さんに差し上げるわ」



いらない……。



「いや、でも……」


「もう着ないから」


「はぁ……」



私はカーディガンを持った手をどうすればいいのかわからなくて、差し出したままにしていた。



「桜子さん、これからも宜しくね」



美乃さんが微笑む。



「あ、はぁ……」


「私たちの寝室は隣だから」



聞いてないし……。


美乃さんはそう言って、隣の部屋に入って行った。