「どうしたの?」 声が聞こえ、私は顔を上げた。 そこには伊織さんが立っていた。 「伊織さん……」 伊織さんが私の隣に座る。 「泣いてるの?」 優しく語りかける伊織さん。 あの時の恐怖が頭に浮かんだ。 私は伊織さんから少し離れた。 「大丈夫だよ。襲ったりしないから」 伊織さんはニコッと微笑む。 「ここにいて大丈夫なの?」 「……うん」 私は小さく頷いた。 「そっか……」 伊織さんはゴロンと寝転んだ。 そしてゆっくり目を閉じた。