「一海さんは……それでいいの?そんなんで幸せなの?親の言いなりのままでいいの?」
「桜子……」
嫌だよ……。
そんなんで結婚なんかして欲しくないよ。
そんなんじゃ、幸せになんかなれないよ。
親同士が決めた結婚なんて……。
家のための結婚なんて……。
「嫌だよ……。一海さんが、結婚する、なんて……嫌だよ……」
私は泣きじゃくりながら言った。
一海さんは目を見開いて私を見てる。
「私、私……一海さんが……」
「それ以上言うな!」
突然、一海さんが大声を出し、手で私の口を塞いだ。
「もう、それ以上……何も言わなくていい……」
私は一海さんが……好き……。
その言葉をグッと飲み込んだ。
「もう時間だ……」
一海さんはそう言って部屋を出た。
私はペタンとその場に座り込んで大声で泣いた。



