「桜子?」 「……はい」 一海さんに呼ばれて、俯いたまま小さく返事をした。 「いつもの元気はどうした?今日はやけに大人しいな」 「げ、元気だよ?」 私は一海さんに背を向けた。 「嘘つくな」 一海さんはそう言って、私の前に回ってきた。 「嘘じゃないもん……」 私は一海さんの顔を見ないようにそう言った。 もう……。 ダメだ……。 唇を噛みしめて泣くのを我慢してたのに……。 張り詰めてた糸が切れたみたいに、私の目から大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちていく。