“コンコン”
部屋のドアをノックする音がした。
「どうぞー」
部屋のドアが開き、そこには目を真っ赤に腫らした多恵ちゃんが立っていた。
「多恵ちゃん!」
「桜子ちゃん……」
多恵ちゃんは部屋に入って来るなり顔を歪ませ、泣き出してしまった。
私はそんな多恵ちゃんを優しくそっと抱きしめた。
「多恵ちゃん、どうしたの?一里さん、何だって?」
「あのね……一里様からね……結婚して欲しいって……言われたの……」
泣きじゃくりながら言う多恵ちゃん。
「ホントに!?」
「うん」
「良かったね!多恵ちゃん!」
私は多恵ちゃんをギュッと抱きしめた。
良かったね!
本当に良かったね!



