桜の木の下で…―運命に導かれて―





「桜子ちゃん。小泉さんが……あっ………」



裏口から出て来た多恵ちゃん。


一里さんを見たまま固まっている。



「多恵ちゃん。久しぶりだね」



一里さんが多恵ちゃんに微笑む。



「………あ、はい……お久しぶりです」



一里さんを見たまま返事をする多恵ちゃん。


でもすぐに顔を真っ赤にして恥ずかしそうに下を向いた。



「元気だった?」


「はい。一里様は?お元気でしたか?」



下を向いたままそう言った多恵ちゃん。


可愛い……。



「うん。元気だったよ。あっ!父上はいるかな?」


「あ、はい!和室の方に……」



顔を上げてそう言うけど、またすぐに下を向いてしまった。



「ありがとう」



一里さんが爽やかな笑顔を見せると、門の中に入って行った。