桜の木の下で…―運命に導かれて―





「俺の顔に何かついてるのか?」



読んでいた本を“パタン”と閉じて私の顔を見た。


目が合う。


私の胸がトクンと高鳴った。


長めのサラサラした黒髪に二重の切れ長の目。


キリッとした眉毛に長いまつ毛。


筋の通った高い鼻に薄い唇。


それに白い肌。


“容姿端麗”という言葉がピッタリ当てはまるような人。


私は彼に見とれていた。



「おいっ!聞いてるのか!」



彼の声に肩がビクンと揺れ、我に返った私。



「あっ、はい!ゴメンなさい!」



そう言って頭を下げたあと、ゆっくり頭を上げて再び彼の顔を見た。


改めて彼の顔を見てドキドキしてる。


熱でもあるんじゃないかと思うぐらい顔が熱い。


私はドキドキと煩い胸を少しでも落ち着かせようと、制服の胸元をギュッと掴んだ。