桜の木の下で…―運命に導かれて―




コップに入った水を持ち、バルコニーに出た私。



「伊織さん?」


「ん?」



伊織さんが目を瞑ったまま返事をする。



「お水持って来たから飲んで下さい……」



伊織さんは目を開けて、私の方を見た。



「ありがとう」


「はい」



コップを伊織さんの手に握らせる。


それを一気に飲む伊織さん。



「大丈夫ですか?」


「あぁ。ありがとう」



私は空になったコップを伊織さんの手から取り、椅子の脇にあるテーブルに置いた。