桜の木の下で…―運命に導かれて―





「うっわ!」



思わず声が出た。


1人だと思っていたのに……。


桜の木に寄り掛かり、本を読んでる男性がいたから……。


男性は声を出した私の方を見ることもなく、本を読み続けている。


まるで私の姿が見えてないんじゃないかと思うぐらい、本に目線を落としたままだ。


……って、ちょ、ちょっと待って?


あれ?


着てる服おかしくない?


白い学ラン?


この辺に、そんな制服の学校あったっけ?


あれ?この服……。


確か、おじいちゃんが若い頃に着てような……。


写真で見たんだけど。


おばあちゃんが教えてくれたんだよね。


ーー昔、おじいちゃんは海軍さんだったんだよ。


って。


それで写真を見せてくれたんだっけ?


でもこの時代に、こんな服を着てるのは軍服マニアくらいしかいないよねぇ……。


この人は、軍服マニア?


私は思わず彼を凝視してしまった。