「中にいなくて大丈夫なの?」
伊織さんが私の隣に並ぶ。
「中にいてもすることないんで……」
私は月を眺めたままそう言った。
「伊織さんこそ中にいなくていいんですか?」
伊織さんは美乃さんのお兄さんなわけだし……。
他人の私とは立場は違うでしょ?
「俺も中にいても何もすることないし。人の幸せそうな姿を見るのもつまんないだろ?」
「はぁ……」
人の幸せって……。
あなたにとって美乃さんは妹じゃん。
「それに飲み過ぎたから酔い醒まし」
「そうですか……」
伊織さんはそう言って、私と同じように夜空を見上げた。



