私の彼はお父さん!?

『父さんこそ束縛し過ぎだよ!』


『束縛? 心外だな…子供の安全を守るのが親の努めだろう? ああ、天国の母さん…霧は不良になってしまったよ』


くぅう…何も言えない。


『…話は終わりだ』


『やだ! 』


『霧』


片方の眉がぴくり、と持ち上がる。本気で怒る時の父さんの癖。


『知ってる子なんか門限無いんだよ! 信用されてるから…って言ってた』


『信用と放任は違う』


『んじゃせめて9時! 』


ばんっ!


机を勢い良く叩く音に身体が固まる。


『…困った子だ…本当に母さんの娘か? 』


『!』


父さんが口に手のひらを当て絶句した。後悔した様に瞳を伏せる。


『どうせ、母さんみたいに可愛くもないし、我が儘だし…』


ぽたり。


机に涙が落ちる。


『…すまなかっ…』


『父さんなんか大嫌い! あたしが母さんの変わりに死ねば良かったんだっ! 』


『霧…なんて事…』


涙を見せるのが悔しくて袖で強く目を擦りあたしは家を飛び出した。


最後に見た父さんの瞳が潤んでた様な気がしたけどきっと気のせい。