私の彼はお父さん!?

『霧』


目の前には隆幸。


信じてた人だ。


『いやああっ! 』


やだやだ。こんな人、父さんじゃ無い。父さんだとしても認めない。


酷い、酷い…私は裏切られたんだ。何が化粧が濃いだよ、何が門限だよ、自分はさんざんこんな事して。


『霧っ! 』


『やだ! 大嫌いっ! 』


『聞けよ! 』


痛いほど肩を掴まれ隆幸が叫ぶ。


『高原が何言ったか想像つくよ、でもお前にはそんなつもりじゃ…』


『し、信じない…っ』


瞬きすると涙が零れ落ちた。


長い、沈黙。


『…悪かった…ごめんな』

『あ…』


ゆっくり私の肩を掴んだ指から力が抜ける。


それと同時に扉が開き、晃さんが屋上に入って来た。

『今日は一人で帰る。霧を頼む』


そう言い残し、隆幸は静かに去って行った。