私の彼はお父さん!?

『…だりぃ』


『隆幸、うるせ…』


『黙れ、敦』


本当は早く帰って霧と買い物でも行こうと思ってたのに担任に捕まって補修かよ…ついてない。


しかも敦と…まぁこいつは連れの中でも馬鹿じゃない。俺は気に入ってる…本人には死んでも言わないけどな。


『お前、新しい猫拾ったろ? 』


『…っ! 何で! 』


ヤバい、霧の事もう誰かに見られたか?


『そんな顔する…って事は本気か』


敦のニヤニヤ笑いが引っ込んだ。


『ちげーよ。霧は今までの猫と違う、けど自分でも良く分かんねぇ…』


『霧ちゃん、っての? 珍しいな…お前が…』


『うるせ』


『んじゃ遊びじゃねーんだな』


『ああ、』


『甘酸っぺぇ~』


『…死ね』


ふはははっ、と間延びした笑い声を上げる敦を睨み鉛筆を走らせる。


その時。


着信音、


『はいよ~』


ちっ、集中力が落ちるだろうが…俺は早く帰りたいんだよ。


『隆幸』


『ああ? 』


『お前の猫、高原に捕まったぜ』


敦の言葉を最後まで聞かず俺は椅子を蹴って教室を飛び出した。