私の彼はお父さん!?

『霧おはよ』


トイレで化粧を直してると親友のリカの機嫌の良さそうな声が背後から聞こえた。


『おはよ』


『霧…顔真っ白だよ…塗り過ぎ』


『あ…』


本当だ。


汚い…父さんの言葉を思い出しますます最悪な気分になった。


『こっち向いて』


『ん』


テッシュで軽く余分な粉を落としてくれる。


『落ち込まない落ち込まない、化粧は経験だからね?
霧は初心者だから仕方ないよ』


『リカはいつも綺麗だよね』


『私は中学から化粧してるもん』


緩く巻かれた艶やかな髪に桃みたいな頬、マスカラだってダマになってないリカは本当に美人さんだ。きっと元も良いからなんだ。


『…父さんに汚いって言われた』


『はぁ? 』


一部始終を話すとお腹を抱え、笑う親友。


『あんたが可愛くて仕方ないんだよ』


『分かんないよ』


ちょっとはマシになった顔を見ながら言うと、大人びた顔してリカが笑う。


どうせお子様ですよ。