私の彼はお父さん!?

『ネクタイは風呂入る以外外すなよ。早く入ちゃえよ』


顔を赤らめるその姿、ちょっと可愛いかったな。


ゆっくりお風呂に入って上がると広いベッドに丸まる様に父さんが寝てた。


『どっちが猫なんだか』


微かに寝息が聞こえる以外はピクリ、とも動かない。

髪に付いているピンをそっと外し頭を撫でる。


ふわふわな金色の髪に陶器を思わせる肌、しなやかな肢体。


本当に血統書付きの猫みたいだ。


ただ。


いつもこんな広い部屋で、広いベッドで独りで寝てるのは寂しくないかな。


『父さん』


小さく囁き。


あたしとさほど変わらない大きさの身体に寄り添うと何故か安心した。


小さい時は一緒に寝てたよね、どんなに怖いテレビ番組を見ても父さんと一緒なら全然平気だったな。


『お休みなさい』


あたしは目を閉じた。