私の彼はお父さん!?

『この子は猫だ。問題ない』


『しかし! 』


くいっ、あたしの首のネクタイの端を摘まんで。


『行こう、霧 』


にっこり笑うと、顔を青くした結城さん(中年)を置き去りに長い廊下を歩き、父さんの部屋まで連れて行かれたのだった。


* * *


『よし、まず風呂だな。奥の扉を開ければバスルームだ。何でも使っていい。俺専用だからゆっくり入れ』

『あのう』


『ん? 』


『父さ…隆幸はなんであたしにこんな良くしてくれるの? 』


ガシガシと頭を掻き視線を上に上げるとうーん、と唸り腕組みする。


『正直分かんね、なーんかほっとけないんだよな…』

『…』


『惚れた…とかでもないし…いや…それに近いがなんか違う…うーん』


『多分隆幸が拾ってくれなきゃ野宿だったよ。ありがと』


若くてもやっぱり父さんは父さんだ。


あたしの居た世界の父さんは今頃どうしてるかな?


心配、してくれてるかな?