私の彼はお父さん!?

『お帰りなさいませ隆幸様』


大きな門を通り高級ホテルみたいな建物の中に入ると中年で品が良い男の人が優雅に腰を折って挨拶した。

『迷い猫を拾われたそうで』


『ああ、名前は霧だ』


『これは可愛らしい。雑種ですかな? 』


なーんか棘があるのは気のせいでしょうか?


『ふん、結城…親子共々口煩いな』


『失礼致しました』


あれ、『結城』ってさっきの運転手さんと同じ名前。

『部屋に戻る』


『承知致しました。霧様のお部屋をご用意させて頂きます』


『必要ない、俺の部屋で一緒いい』


『へ? 』


い、一緒って…親子だけどこ、困る。


『いけません…っと、年頃の男女が同室など! 』


結城さんにさっきまでの余裕はない。


隆幸が笑った。