私の彼はお父さん!?

『何か…落ち着かない』


あれから真っ黒なながーい車があたし達を迎えに来て今はその車の中なんだ、けど。


冷蔵庫あるし。


革張りだし。


広いし。


もしかしたら父さんセレブなの?


でも一回もおじいさんやおばあさんの話、聞いた事無いし今は普通の会社員してるのに。


長い足を組み冷えたミネラルウオータを飲む姿は凄く様になっていて、あたしはガラスの瓶に入ったやたら高級感のありそうなその水を飲めないでいた。


『…坊っちゃん』


『んあ?』


運転をしてる若い男の人が苦々しげに言った。


『その…猫ですが(多分あたしの事だ)…』


『連れて帰るのは如何なものかと』


『なんで? 可愛らしいだろ? 首輪も付けたし』


…ってかネクタイだよね。

『…は、しかし』


『俺の決定事項にいちいち口を出すな、結城』


『申し訳ありません』


あたし、勢いで着いて来ちゃったけど、


『やっぱり…』


『霧、大丈夫だよ~』


頭をなでり、なでり。


本当に猫になった気分だよ。