私の彼はお父さん!?

『お前は迷い猫だ! 人間なら警察に連れていくべきだか猫なら拾っても問題ない。心配するな! 霧、俺が責任持って拾ってやるぜ!』


『あのー…』


頭、大丈夫デスカ?


『心配すんな、事情は察した! 』


多分チガウトオモウヨ


『霧、にゃーは? 』


『は? 』


『にゃーと言え! 』


余りの迫力につい。


『に、にゃー…』


言っちゃったよ。


隆幸の両手が頬っぺたを包む。


『可愛い猫拾っちゃった~』


へらり、笑顔。


どきどき、する。


首に辛うじて引っ掛かってた自分のネクタイを外し、あたしの首にくるくる巻き付けた。


『首輪代わり~』


隆幸の、父さんの匂い。


甘い。


二つ折りの携帯を手首のスナップを効かせパチン、と開き短く言う。


『俺だ、迎えを寄越せ』


『…どこ、行くの? 』


『家に帰ろう、霧』


差し伸べるその腕に、駄目だと思いながらもあたしは手を取ってしまった。