『それで…なんで父さんなんだよ』


長くて少し節の張った指で机をトントン叩きながら片方眉を上げる。


…癖も一緒だ。


『隆幸さ、好きな食べ物はけんちん汁? 』


『そーだけど』


『虫は苦手? 』


『触れない』


『密かに可愛い小物が好き』


『…なんで知ってるんだよ』


『枕にはタオルを掛けて寝る』


『パイル地のな』


『やっぱり…』


間違いない、父さんだ。


『それで、なんで霧はそんなに知ってるんだ。俺はお前の事何にも知らないのに』


しかし父さん、ファンキーだなぁ、ピアスに金髪、あまつさえ女の子とあんな事やこんな事…。


『霧!』


『は、』


『は、じゃねぇよ…』


長い睫毛を僅かに伏せ、ため息をつく。


しかも…イケメン。


『あの、父さんと隆幸、似てる、から』


苦しい言い訳だけど他にいいようがない。


あたしの父さんですよ、貴方…なんて言えないし。