私の彼はお父さん!?

何が「お父さんだぞう」だよ。仕事ばっかりのくせに口ばっかり出して来て。


その次は何言うか分かってる。だっていつもお決まりの言葉だから。


「母さんはお前と違いそりゃあ清純で可愛らしかったぞ? 」


「母さんは薄化粧で」


「母さんは口答えなんてしなかった」


母さん、母さん、どんだけ妻命なんだよ。


あたしを産んで直ぐ死んでしまった母親は写真でしか見た事が無い。


だから正直どんな人だったか分かんないんだけど。


『早く一人暮らししたいなぁ』


呟いて足元の小石を蹴る。あたしはまだ15歳、まだまだ独立するには先だ。



料理も出来るし、自分の事はたいてい出来るのに年齢のせいであの五月蝿い隆幸から離れられないなんて不公平だよ。


あああ、朝から最悪。


バス停の前で鏡で確認するとファンデーションが見事にムラになっていた。