私の彼はお父さん!?

女の子は泣いて行ってしまった。


『追いかけなよ! 』


『丁度良かったんだ、面倒になってたとこだし』


にこにこ笑うその表情はさっきまでの冷たさは無い。

『でも! 』


『俺は簡単にあんな事言う奴は大嫌いだ』


胸が、痛い。


あたしに言われてるみたいだ。


『軽いんだよ、言葉が。本当に死ぬつもりもないくせに…虫酸が走る』


イライラと前髪を弄びながら鋭い視線があたしを捉えた。


そんなの分かってる。軽々しく言う言葉じゃない。


それでも、


『自分を…見て欲しくて、でも、見てくれなくて…いつも…誰かと比べられて』

目が、顔が熱い。視界がぼやける。


『…なんで霧が泣くんだよ…』


『あたしも、お、父さんに…っ…同じ、事言った』


あの時、家を飛び出してしまったけど。


『もし、父さんに「死ねよ」って言われたら…っ…大好きな人に言われたら』


耐えられない。


『霧…』


『うー…っ』


涙、止まらない。会ったばかりの人にこんな事言ったって仕方ないのに。


嫌いに、ならないで。


父さん、


ごめんね。