顔を少し変形させた至を隣に立たせて正門を通る人々の目を凝らす。
お目当てはまだ現れそうもない。
そういや最近クレープを食べていないな。去年は何かと言えば帰り道4人でクレープ屋に寄っていたのに。
文紀は部活に忙しそうだし、佳子は彼氏とラブラブランデブー。
「クレープ食べたい」
「唐突だな。俺は彼女が欲しいぜ」
「…モテないって可哀想だね。王子にテクニックでも聞けば?」
「大きなお世話だ。…王子に奢ってもらえ」
「普通“俺が奢るよ”だろ。そんなんだからモテないんだよダメ男」
首が良い音がして強制的に至に向けられた。
両頬を思いっきり潰されて上手く喋れないぞ。
「ブッサイク」
「ふあえ!」
「あー何言ってんだ?」
「おーえい!」
「今バカにしたろ」
自分でも解読不可なのにこの男はなぜに読める。
「香山くんに…百地さん?」
「ほーじ!」
「王子待ってたぞ」
いい加減痛いです。離しやがれコンチクショー。
至の両手を抓り抵抗する。加減なんて忘れましたよ。
「いってーっ!」
「自業自得。あんなブッサイクな顔王子に見られたら姫に行けないじゃん」
「安心しろ。どっちにしろ王子の嫁にはなれねぇし、姫にもなれねぇ」
王子が吹き出した。
ただ笑うだけでも周りをうっとりさせる王子パワーはさすがだ。
あ、でも私初めて見たなーこんな風に楽しくて仕方ないって笑う王子。
いつも愛想笑いとか、綺麗に微笑むとか、もちろんそれも好きだけど。

