「怜生さーん、スルメイカ食べますか?」

「どいつがそんな古風なもの持ってきたんだ!?」

「桂子怒んないでよー。せっかく王子がくれたのに…」

「怒ってねぇよ! グッジョブ王子!」


桂子が助手席から振り返って、親指を立てた。
隣の王子は照れているのか、桂子か怖いのか微妙に引きつった笑顔を浮かべた。
声をかけた怜生さんは相も変わらず口数少なげにミラー越しに頷く。運転中だから桂子がスルメイカを口に入れてあげていた。…ラブラブだあ!
後ろでは至を挟んで種樹と文紀が騒いでいる。…うるさい。

夏休み。
なんとか補習を逃れた至、部活の練習の合間を縫って文紀、無理矢理誘った王子、暇な私達姉弟と桂子、保護者の怜生さん、で海に向かってます!
去年も私、桂子、怜生さん、種樹で海行ったんだ。今年も、ってことになって、気づいたらこんな大所帯になってたの。