至のセクハラの後、桂子と文紀の待っている教室に戻ったら、案の定怒られた。
罰は全部至が受けてくれたけど。
そんで、偽恋人になると宣言したらもっと桂子の機嫌が悪くなり、文紀がはけ口になった。
王子の秘密以外を正直に話してなんとか納得してもらい、その日は至と2人で帰った。
わざとらしい恋人にならないように何個か約束事を決めた。
その1つが……


「はぁ……」

「彼氏できたのにため息かよ」

「だって王子に会わないんだもん」

「そりゃ誰だって人のものには興味ねぇだろ。つーか至が聞いたら怒るんじゃね?」

「ダーリンは心狭くありません!」


“ダーリン”“ハニー”と呼びましょう。
むしろ疑われそうだけど面白いから採用。楽しまなきゃね。

ま、それはいいんだ。

至って思ったよりもモテるらしくて嫉妬の視線が痛いんだよね。

ま、それもいいんだ。

私程度で落とせるなら、って告白する人数が増えたって聞いたんだよね。

ま、それもいいんだ。


問題は!

王子に全く会わないこと!
瞬く間に広がっていった噂に伴ってギャラリーは増える一方。
本格的に騙すために教室内でも登下校でも大体一緒。おかげさまで疑われないし、王子のファンクラブは信じてくれたみたいだし(謝られちゃったよ)。
けど、同時に隣のクラスの王子に会いに行けやしない。
一般の方々は彼氏がいるのに違う男と会うのはおかしいと考えるそうです。
このほとぼりが冷めるまでは会えそうにないなぁ。早く治してあげたいのに…!