向こう岸の恋

ダダをこねても仕方ない。

ミカは諦めて彼と別れ、自分の部屋に戻る事にした。

ドアノブにキーを差し込もうとした。その時──

「ミカさん?」

 少しなまった言葉が背後からした。

「はい?」

 振り返ると、

「!」

 銃を突きつけている男。スーツ姿の長身。茶色いサングラスをかけている。突然の事に、ミカは固まった。

「え?」
「一緒に、来ていただけますね?」

「え……?」