向こう岸の恋

「ここに来たかったんだ~」

 ミカは嬉しそうに笑った。

「ただのショッピングモールではないか」

 機嫌のよろしくないベリルが、溜息混じりにつぶやいた。

 1人はしゃぐミカは足早に通路を歩く。ふと目の前に壁。ではなく、体格のよい男性。

「え? えっ? 何?」

 英語でまくしたてられる。困り果てた処にベリルが現れて、その男の人と何か話をしている。

 相手の男は一歩も譲らない。という風な、そんな態度だった。

が、ベリルがひと睨みすると、男はすごすごと離れていった。

「なんだったの?」
「ナンパだ」

 ベリルが腹立ち紛れに言いながら歩き出す。

「え……私が?」

「何を言っても諦めないので最後は脅しをかけたが」
「……」

 脅し……一体、何を言ったんだろう。