向こう岸の恋

 少し涙が出た。振り切るように、その涙をぐいと拭う。

「!」

 ふと気付くと、ポケットに何か入っている。

「?」

 何かの番号だ。添え書きには、

『よほどの事が無い限りかけてこないように』

「……」

 ミカはその紙を握りしめ、ふるふると体を震わせる。

「忘れてほしいのか、ほしくないのか。どっちなんだバカー!」


 星空に向かって叫んだ。
 

 END