向こう岸の恋

 ホテルまでの車の中。2人は終始、無言。ミカは窓ガラスを降ろして、吹き付ける風に目を細めた。

「……」

 もうすぐお別れなのに……何を言えばいいのか解らない。

 口を開けば、彼への想いが一気に噴出してしまいそうで、私は口をつぐんだ。

 外はすっかり暗くなっていた。ベリルはホテルに着く前に車を駐める。

「?」

 怪訝な表情をする私に、運転席から出て助手席のドアを開いた。手を差し出して外にうながす。

「わぁっ……!?」

 日本の都会では見られない満天の星空。星が降り注ぐような光景に、ミカは目を細めた。