向こう岸の恋

何を話せばいいんだろ……

突然の再会にミカは戸惑う。

「偶然だね。ここで何してるの?」
「お前は?」

「私は卒業前にみんなと旅行。ベリルは?」
「……」

 ベリルは、少し話す事をためらった。

「依頼を受けて、その内容を聞きに来た」

「依頼?」

 あ……そうだった。彼は傭兵をしているんだ。ミカはベリルの姿をまじまじと見つめた。

 薄手のジーンズに淡い水色の前開きの半袖シャツを着ている。ボタンは閉じてないから、中の黒いインナーが体のラインを浮き立たせていて少しドキリとした。

 鎖骨の上辺りまで覆っているインナー、腕の方も二の腕までかかっていた。密着するタイプのものらしい。多分、市販には売っていない特別製なのだと感じられた。

「だが、気にくわない。断るつもりだ」
「え、そうなの?」

「何が、という訳では無いのだがね」

 そんな彼の顔を見て、

「ね。3回も会ったね」
「ん? そうだな」

「これって、運命っていうんじゃない?」

 ミカがそう言ったとたんベリルの眉間に、みるみるとしわが寄る。

「何が言いたい……」