向こう岸の恋

 それを見た他の男たちは、仕える者がいない今、彼と闘おうと思う者などいるハズもなく。

「うっうわぁっ」
「ひえっ」

 皆、散り散りに逃げていった。

「……」

 溜息を吐き出すベリルの背中。

「!?」

 振り向いたベリルに、ミカはビクリと体が強ばった。目を合わせられない。

 こんなにも……彼と生きてる世界が違う。

「……」

 壁が、大きすぎるよ。まるで大きな河の向こう岸にあなたがいて、そっちに渡ろうとしても橋も何も無くて、ただ見ているだけしか出来ないような。

 そんな感覚に、胸が締め付けられる。ミカは何も言えなかった。それを見たベリルは、少し困った顔をして小さく笑った。

「怖かったろう。すまなかった」

 違う。あなたのせいじゃない……声にならない。