向こう岸の恋

「きっきさま!」

 ウィルは、ベリルに銃口を向けた。

「ミカ」

 自分の後ろで震えているミカに、

「ナイフを」
「え?」

 イリーナに刺さったままのナイフを、ミカは見つめた。

ベリルは薄笑いを浮かべる。

「解放するとは言ったが、殺さないとは言っていない」

 代償は払わねばな。ベリルは静かに言い捨てた。

「よくも!」

 ウィルの叫びのような声と同時に、ミカはナイフをイリーナの体から引き抜きベリルの手に──!

 ベリルは手渡されたナイフを素早く投げつける。ナイフはウィルの胸に、小気味よい音を立て突き刺さった。

「ぐ……う」

 男は小さく唸り、ゆっくり崩れ落ちた。