向こう岸の恋

 外に出る。そこは何も無い荒れ地だった。転々と広がる木々。

「なるほど。こんな処に建てた訳か」
「ベリル!」

 振り返ると、ミカに銃を突きつけて睨み付けるウィルがいた。その後ろには、警備兵らしい人影が数人。

「ウィル! 助けて」

 イリーナが、誘惑的に助けを求める。それにベリルは、呆れて溜息を漏らした。

「イリーナ様を離せ」

 ギラついた目だ、かなり殺気立っている。ベリルは肩をすくめる。

「お互いが人質を取っていては何も進まんな。同時に解放する。というのはどうかね?」

 交渉を持ちかけられてウィルは戸惑う。

「本当なんだろうな?」
「ウソは言わんよ」

 ウィルはしばらく考えて応えた。

「解った。離すぞ3・2・1」

 2人は同時に相手を解放する。

「ベリル!」

 イリーナとミカがすれ違う。その時、イリーナはミカの足をピンヒールで強く蹴った。

「いたっ」

 それを見たベリルは素早く走り寄る。

「それはよくないなぁ」
「ヒッ!?」

 隠し持っていたナイフを、イリーナの背中に静かに突き立てた。叫ぶヒマもなく、イリーナは地面に倒れ込んだ。