向こう岸の恋

「ああ……私の大事な……」

へなへなと崩れ落ちる女に、ベリルは一瞥すると、

「これで彼らは安息の地に還る。こんな処で、貴様のような者に見せ物にされるのは、まっぴらだ」

それにイリーナはギロリとベリルを睨み付け、

「よく言う! 神に見捨てられた者のくせにっ」

その言葉に、ベリルは笑って切り返した。

「1人くらい、神が面倒みなくてもいい人間がいたっていいだろう?」

「なっ!?」

動じないベリルをイリーナは見つめた。

その表情は柔らかで、彼女の全てを受け入れているようにも見えた。


神は人を愛している。
故に死を迎えた者は、神の元へ召される。

だが……

その死を迎えない者は、神に見捨てられたに等しい。