向こう岸の恋

オープンカフェでくつろぐミカたち

「あれ……ねえあれ」

 1人が気付いて、

「あっ! あれってミカの彼氏じゃない?」

「え!?」

 言われて振り返る。その時には、すでに別の友達が彼の腕を引っ張って、こっちに誘導していた。

「……」

 行動早いわね……

「お前たちか」

 眉間にしわを寄せるベリル。ミカはそれに、苦笑いした。

 彼女たちは彼との2度目の出会いの時にその場にいたので、彼の顔を知っている。

どうしたもんかとミカが思っていると、

「じゃ、私たちはショッピングの続きしてくるね~」

「あとでね~」

「え?」
「……」

 あっという間に2人きりにされた。なんて心遣いのある友達だ。

さすがのベリルも、女たちの勢いにはついていけなかった。

 口を挟む暇もなく、ミカと取り残される。ベリルは仕方なく溜息混じりに腰掛けた。

「ご、ごめんね」

「仕方なかろう。お前を1人にさせる訳にはいかん」