向こう岸の恋

「どうして彼を狙うの?」
「イリーナ様が求めたからさ」

 イリーナ……あの女の事か。

思い出してさらに腹が立ってきた。

「今回は、特に気に入られたらしい。約束なんてさせようとなさるとはな」

「どういう事?」

 意味の解らないミカにウィルという男は、ニヤけた顔を続けて説明する。

「捕まえたお気に入りは逃げないように、氷付けにするからさ」

「氷付け!?」

「人間を維持させるのは一苦労なんだ。だったら冷凍保存すればいい」

「そんな……」

 でも……そんな事したら……

「麻酔を撃って、好きなポーズにさせて冷凍する。もちろん急速冷凍だが、生き返る事は無いだろうな」

 口の端をつり上げて男は笑って言った。ミカは膝がガクガクと震える。

人間を魚みたいに凍らせて眺めるなんて、なんて悪趣味な。