向こう岸の恋

 ミカと別れて車を走らせるベリル。

もっと突き放すべきか? まさか3度も偶然に出会うとは。

 ミカが言った“運命”というのも、信じてしまいそうになる。

「!」

 携帯がふるえる。

「はい」
<ベリル>

 聞きかじった声。今回、依頼してきた男の声だ。

「すまないが……」

 丁度良い、断ろうかと口を開いたせつな──

<ミカ。という女性がここにいる>
「何?」

 ベリルの態度が変わった事に男は続けた。

<やっぱり、死なれるのは嫌だよな>

「何が言いたい」
<君を欲しがっている人がいる>

 ベリルは、ああ……とつぶやいて、小さく溜息を漏らした。