「すげぇ、助かる。
缶コーヒー買いに行くの、面倒だったからさー」
「いいえ~、ついでですから」
そう言った彼女は、隣の席に座った。
ついでと言うけど、彼女は気遣い屋だ。
彼女のマグカップには、ミルクティーが入っているから。
態々、俺にはコーヒーを淹れてくれたのだ。
絵美の言う通り、何でも卒なくこなす真帆ちゃん。
そのうえ、出しゃばったりしない。
かと言って、意思も主張もハッキリしている。
海外生活が長かったためか、年齢よりも大人びていると思う。
淹れてくれたコーヒーを飲んでから、再び話し掛けた。
「サンプルだけど・・・
修正入ってさ、また暫く残業になるから」
また午前様続きだと…、苦笑してそう言うと。
「えっ、そうなんですか・・・」
予想通りと、言って良いのか。
酷く残念そうに、顔を俯かせてしまった。