やっと病院に着くと、先生はすぐに手術室に運ばれた。手術室の前で、自分は座り込んだ。
恋愛ドラマのようで、でもやっぱり違って…それに似てる恋愛をしてきてたんだ。辛くて苦しい恋愛なんか嫌。
けど、それが恋愛についてくるものなんだ。とても大切だから…

「南、持田の奴…」

「あの人も苦しんでたんだね」

叶わない恋で、叶わない想いを平次に伝えようとしたんだ。分かってたんでしょ?持田先生。それを分かっていながら伝えたあなたは、ギリギリの所で耐えていたんでしょう?

ごめんなさい。今の自分に言える言葉はこれだけ。平次は渡さない。渡したくないんだ。
自分の最初で最後の恋だから…

伝えるって、簡単そうで簡単じゃなかった。不安がありながらも伝えるんだよね。

要に支えてもらいながら椅子に座った。
持田先生は、誰かに支えてもらっていただろうか?
誰かに助けてもらっていただろうか?

「要、ありがとう」

「馬鹿。当たり前だろ」

本当にありがとう。いつも迷惑ばかりかける要。ちょっとは成長したね。
昔と変わらないくらい迷惑なことをしていたから、多少の成長ぶりは、すぐに分かった。