どうしよう…
焦っていると、先生が近づいてくる。

「来ちゃダメ!」

叫ぶと、先生が止まった。ダメだ、来ちゃ!ここは危険なんだ。

持田先生が、ギリギリまで近づいてきていた。
やばいっ…気づかなかった。

―次の瞬間―

「待て!」

先生に抱きしめられていた。もちろん視界は真っ暗。
だから、抱きしめられてることだけが分かった。
優しくて、ふんわりとしている感覚。

「ぃっっ…」

先生の痛そうな声が聞こえた。…まさか?
「先生!」

先生の背中に手が少しだけ触れた。ヌルッとしたものに触った。…血だ。
嘘…先生、嘘でしょ?

「南っ、大丈…夫?」
「うんっ…先生、なんで?」

どうして来たの?離婚するって…叩いたりしたのに…どうして?普通なら、来ないよ?

「もう一度やり直したいから…」

馬鹿だね、先生。こんな怪我までして…馬鹿だよっ。
でも、こんな馬鹿な人が好きな自分は、もっと馬鹿だよ…

大好きで、大嫌い。意味不明だけど…今はそんな感じなんだ。