本当に馬鹿だ。
南を…疑っていたんじゃないのか?
信じる、信じるって口だけで言ってただけで、心の中では疑ってた?

「お母さん…刺されそうになったんだよ!」

刺されそうに?
持田先生が刺そうとした?

「どーして、お母さんを疑ったのよ!」

美依は、走って二人を追いかけた。
僕は、玄関の扉を見つめた。南は…帰ってこないのかな?

「吉田先生…私が被害…」

「出てって下さい」

僕は、先生に冷たく言った。
今、頭の中には泣きそうな顔をした南しか…

「…帰ってきて…」

もう後悔だらけ。
また僕は、からっぽになった。
何もいらないから、帰ってきて。

「吉田先生…」

僕は、もう抵抗をしなかった。