先生×自分

ガコンという音と共に、天海さんが消えた。


…穴に落ちた…


「邪魔物退治完了!あ、でも貴志がまだ来てないや」

嬉しそうにしたかと思えば、お父さんのことを思い出して悔しい顔をした。


…この子が…荒山。



「お姉さん」


「…何?」


「貴志がいなくなったら悲しい?」


「うん。悲しい。すっごく悲しい」


「…僕がいなくなったら?」


「そうだね…まだ会ったばかりだけど、悲しいよ」


また嬉しそうな顔をして、自分の手を掴んだ。

聞きたいことはたくさんある。

でも、相手がまだ何者なのか…


「僕が荒山だよ。名前は捨てたんだ」


この幼い子供が、荒山。