南のことを信じていなかった?
違う。信じてたよ。ただ真相が聞きたかっただけ。

疑ってなかった。
本当だよ?
持田先生の手に血がついてたから…気になって。
南の手には、全く気づかなかった。

「待って…」

南に振り払われた。とても…とても辛かった。

南の目は…とても泣きそうで、怒りの目をしていた。
ごめん。南…
お願い、行かないで。

―ガチャン―

彼女は、出てった。…僕は、本当にダメな男だ。

南を信じてあげれば良かったのに。
責めないであげれば良かったのに。

後悔ばっかりだ。
南、戻ってきて?

溝川さんは、南の後を追った。
高城君は、僕を睨んで南を追いかけた。

「お父さんの馬鹿っ!!」

美依が、叫んだ。
涙がぽろぽろとこぼれ落ちていた。