「…言っても言い訳にしか聞こえないでしょ?」

「南!」

やっぱり信じてないね。信じられないのかな、自分は。

自分より持田先生を信じた先生。
こんなにもずっと一緒にいたのに…

「吉田先生、黙って聞いてれば…宮沢さんは、被害者だよ?」

「え?」

溝川が言ってくれたけど…遅いよ。

「…はぁ」

ため息をついて、包丁をごみ箱に捨てた。
そして、手についた血をティッシュで拭き取った。

「お母さん」

「ちょっと、頭冷やしてくるよ」

上着を羽織って、外に向かった。
靴を履いている時、先生が来た。

「南!ごめ…」

「いいですから。もう…信じられていない自分に、謝られても」

「違う」

違う?信じてくれなかったじゃないか。持田先生のことを信じていたのに?

卑怯じゃない?
もう、どうでもいい。

「待って…」

自分は、振り払った。大嫌い。

こんな自分も大嫌い。