南と手を繋いで、旅館周辺を歩いて空を見上げていた。

「どうしたの?」

「…あの」

「髪の色の話?」

「それも気になるけど…」

もごもごと口ごもっている南。いつもと違うなぁ。

「貴志さん、何でも言って下さいね?」


久しぶりに貴志さんと呼ばれて、敬語で…ふざけてはいけないと思った。

「ありがと。でも大丈夫だから」

「だって…皆の前では辛くないって顔してても自分には分かります」

私の服をぎゅっと掴んで、私を見上げていた。

大丈夫だよ。辛くないよ。
皆といれば辛くなんてないんだ。