穏やかな海、そこを泳ぐアメリカ軍空母。
青い空を覆う雲から一機の戦闘機が飛び出し、空母へと突撃して行く。

「大日本帝國に栄光あれぇ!!」

その言葉と共に戦闘機は空母にぶつかり、空を焼く紅い炎を巻き上げた。

「大日本帝國、万歳! 私は英雄になる!」

二機目の特攻。
紅の炎から黒煙が舞い上がり、青空を一気に焦がして行く。
別の戦闘機もそれに続く様に次々と特攻を開始する。

「死にたくない、死にたくない」

死の恐怖が操縦桿を握る手を震わす。

全ての特攻兵が特攻を成功させられる訳ではない。
死の恐怖に負けた者は空母の大砲に呑まれ、海の藻屑へと変わる。

数十機の特攻を受けて、空母はアメリカ軍人の悲愴な叫び声と共に深い海の中に沈んで行った。