仁志は凄く喜んでいた。 夏実のお腹に手をやり、耳を近付けた。 『まだ、蹴ったりはしないわよ。3ヶ月だから』 『そっか、おめでとう。良かったな』 仁志の笑顔を見ると、また涙が溢れていた。 『―仁志、これだけは教えて』 『何』 『私のこと、どう思ってるの?』 仁志はしばらく何も言わなかった。 海に沈む夕陽をじっと見ている。 『―相手が裕じゃなかったら、とっくに奪ってたよ』